実は医薬品?人気美容成分の“もうひとつの顔”
- アプエンテ事務局
- 5月23日
- 読了時間: 3分
更新日:6月12日

近年、「トラネキサム酸」や「レチノール」といった成分を含む化粧品が話題になることが増えました。
これらはいわゆる「美容成分」として広く知られていますが、実は医薬品としても用いられている成分が多くあります。
美容と医療の分野は、近年ますます境界が曖昧になっており、同じ成分が美容目的と治療目的の両方で使用されているケースも少なくありません。
ここでは、美容と医薬品それぞれの視点から、代表的な成分の効果や役割を見ていきましょう。
主な美容成分と医薬品の関係
◆ トラネキサム酸
<美容目的として>
・メラニンの生成を抑制し、シミ・そばかすの予防
・日焼けによる色素沈着やくすみの改善(美白作用)
<医薬品として>
・抗炎症作用による腫れの軽減
・止血作用(血液凝固を助け、出血を防ぐ)
※血栓症の既往がある方や、リスクのある方は使用に注意が必要です。
◆ レチノール(ビタミンA)
<美容目的として>
・アンチエイジング(シワの改善、ハリの向上)
・肌のターンオーバー促進
・ニキビ予防・改善
<医薬品として>
・夜盲症の予防や治療
・皮膚や粘膜の維持(乾癬やアトピー性皮膚炎の治療)
※一般用医薬品における1日摂取上限は、4000国際単位(IU)とされています。
◆ ヒアルロン酸
<美容目的として>
・高い保湿効果
・フィラー(注入剤)として、シワやたるみの改善
<医薬品として>
・関節内注射による関節痛の緩和
・目の乾燥防止(点眼薬)
・火傷や外傷の治療補助
◆ サリチル酸
<美容目的として>
・角質除去(ピーリング)
・ニキビ予防・改善
・色素沈着やくすみの軽減
<医薬品として>
・角質を軟化させる作用
・抗菌・抗真菌・抗炎症作用(水虫治療など)
◆ ビタミンC(アスコルビン酸)
<美容目的として>
・美白効果(メラニン生成の抑制)
・シミ・そばかすの予防と改善
<医薬品として>
・抗酸化作用
・鉄分の吸収促進(貧血改善)
・免疫機能の強化
・炎症・出血の抑制
◆ ユビデカレノン(コエンザイムQ10)
<美容目的として>
・抗酸化作用による老化防止
・肌の保湿・ハリの向上
<医薬品として>
・酵素の働きを補助
・軽度の心疾患における動悸・息切れ・むくみの緩和
副作用とリスク管理
美容成分の中には、一定の濃度を超えると医薬品として取り扱われるものもあります。
その理由は、効果が強力である反面、副作用のリスクも高まるためです。
医薬品として承認されている成分は、厳格な臨床試験を経て安全性や有効性が確認されています。そのため、医師の指導や管理のもとでの使用が基本となります。
近年では、医療と美容を融合した「美容皮膚科」や「メディカルエステ」が増えており、医療の知識を活かした施術が受けられる機会も増えています。
一方で、インターネットやSNSなどを通じて手軽に入手できる製品も増えており、正しい使い方や成分の理解がないまま使用したことで、健康被害が発生するケースも報告されています。
効果だけに注目せず、使用上の注意やリスクについても十分に理解したうえで使用することが大切です。
おわりに
美容成分の中には、医薬品としても用いられるほど高い効果を持つものがあります。
その一方で、使用方法や濃度、体質によっては副作用が起きる可能性もあるため、「安全に使うための知識」も欠かせません。
こうした成分の特性や役割を知っておくことで、自分に合った製品や治療法をより適切に選択できるようになります。
登録販売者の試験では、これらの成分や関連法規についても学ぶことができます。
興味のある方は、ぜひ学習を通じて知識を深めてみてください。