産業医からの健康クイズ~薬の飲み方について~
- アプエンテ事務局
- 6月4日
- 読了時間: 3分
更新日:6月12日

毎日飲んでいる薬、ちゃんと「正しく」飲めていますか?
効果を十分に得るためには、タイミングや飲み合わせなど、意外と見落としがちなポイントがあります。
今回は、産業医から健康クイズを出題します!
Q1.薬を飲むタイミングについて、「食間」とはどのような飲み方でしょうか?
①食事をしている最中
②食事と食事の間
③食事の中に薬を混ぜる
(答えは記事の最後に!)
「食間」とは?
食事の最中だと思われている方も多いですが、「食事と食事の間」に内服をするという意味です。食事を終えてから2時間後が目安となります。
これは、空腹の状態で薬を飲むと吸収が良くなるため、あるいは胃粘膜を保護するための薬などは空腹時にその効果を得やすい、ということが理由の一つです。
「食前」とは?
「食前」とは、食事の20〜30分前に内服します。
食べ物や胃酸の影響を受けたくない薬や、糖尿病の際に食事で高くなる血糖値を下げるための薬などは、食前に飲むことが多くなります。食べたあとの吐き気を事前に抑える薬なども食前に飲むと効果的です。
「食前」とは?
「食後」とは、食事が終わって20〜30分後までに内服します。
食事の後は胃の中に食べたものがあるので、薬による胃への負担が少なくなります。
食後の薬は飲み薬の中で最も多いタイプです。食べ物と一緒の方が吸収が良くなる薬や、空腹時に飲むと胃粘膜を荒らしてしまう薬などは食後に飲みます。

時々、食事が摂れなかったために内服もされない方がいらっしゃいますが、体内の薬の濃度が低下してしまい効果が得られないことがあります。このような時は、クッキー1枚だけでも胃に入れてから薬を飲めば、食後に近い状態とすることができます。
「食前」、「食後」、「食間」以外にも「食直前(食事の直前)」、「食直後(食事のすぐ後)」、「就寝前」、もっと厳密に何時と何時など医師が指定する薬もあります。
いずれの場合も正しい飲み方をしないと効果がでなかったり、副作用が現れたりすることがありますので、薬を飲む際は決められた服用方法を守るように気をつけるようにしてください。
Q2.コレステロールや血圧を下げる薬と一緒に飲んではいけないものは?
①リンゴジュース
②オレンジジュース
③グレープフルーツジュース
(答えは記事の最後に!)
高血圧や狭心症の治療に使われるカルシウム拮抗薬という薬の一部は、肝臓にある酵素で代謝されます。
グレープフルーツジュースに含まれる物質には、この代謝酵素を阻害する働きがあるため、同時に飲むと薬の代謝が悪くなり、薬が長く体内にとどまり効果が出過ぎてしまう可能性があるのです。
グレープフルーツジュースと薬の相互作用は、同時に飲んだ場合だけとは限りません。個人差がありますが、グレープフルーツジュースによる影響は体内で十数時間持続することも確認されています。
そのため、薬を飲んでいる期間はできるだけグレープフルーツジュースを飲まないように気を付ける必要があります。また、ジュースだけでなく、グレープフルーツの果実そのものも注意が必要です。
同じ柑橘類でもみかんやオレンジには薬の代謝を阻害する物質は含まれていないので大丈夫です。
原則として、薬は「コップ1杯の(十分な量の)水かぬるま湯」で飲みましょう。
【執筆者プロフィール】
産業医 長谷川 崇
日比谷産業医事務所所長。医学博士、労働衛生コンサルタント、日本医師会認定産業医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、精神保健指定医、日本内科学会認定内科医、臨床心理士。
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産業医の健康クイズ 答え
Q1.②
Q2.③