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自然の力で整える―漢方薬と生薬のはたらきとは?

  • 執筆者の写真: アプエンテ事務局
    アプエンテ事務局
  • 5月28日
  • 読了時間: 4分

更新日:6月12日

漢方薬

近年、自然志向・健康志向の高まりとともに、「漢方薬」や「生薬」が再び注目を集めています。

どこか“昔ながらの知恵”のようにも感じられますが、実はこれらは、現代の医療や予防ケアにも深く関わる重要な存在です。

 

漢方薬や生薬は、自然由来の成分を活かして、体のバランスを整えながら不調を改善するという考え方に基づいています。

本コラムでは、その基本的な違いや特徴、そして上手な選び方まで、わかりやすく解説します。


漢方薬と生薬のちがい


「漢方」と聞くと、「自然にやさしそう」「副作用が少なそう」といったイメージを持つ方も多いかもしれません。でも、「生薬」との違いを聞かれると、ちょっと迷ってしまう人も多いのではないでしょうか?


漢方薬とは?

漢方薬とは、複数の生薬(しょうやく)を組み合わせて処方された薬のこと。

中国の伝統医学に由来し、日本で独自の発展を遂げてきた「漢方医学」に基づいています。

単に症状を抑えるのではなく、体全体のバランスを整えて“治る力”を引き出すのが特徴です。

 

生薬とは?

生薬は、植物・動物・鉱物など自然界にあるものを薬として使う素材のことです。

たとえば「葛根(かっこん)」「甘草(かんぞう)」「人参(にんじん)」などがあり、それぞれが効能を持った“自然の恵み”といえます。

漢方薬は、こうした生薬を組み合わせて作られています。

  

漢方の基本的な考え方:「気・血・水」のバランス


漢方では、体の中を巡る3つの要素「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスが健康を左右すると考えられています。

要素

意味

バランスが崩れると…

気(き)

生命エネルギー

疲れやすい、やる気が出ない、イライラなど

血(けつ)

血液とそのはたらき

冷え、生理不順、貧血、肩こりなど

水(すい)

体内の水分

むくみ、めまい、関節の痛み、胃の不調など

漢方薬はこの「気・血・水」のめぐりを整えることで、体全体の調和を取り戻し、自然治癒力を高めるサポートをしてくれます。


よく使われる漢方薬とそのはたらき


ここでは、代表的な漢方薬とその効能を、症状別にいくつかご紹介します。

漢方薬

主な効能

主な成分(一部)

葛根湯(かっこんとう)

風邪の初期・肩こりに

葛根・生姜・甘草 など

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

慢性的な疲れ・体力低下

人参・黄耆(おうぎ) など

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

冷え・生理不順・貧血

当帰・芍薬・茯苓 など

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

肥満・便秘・代謝促進

防風・麻黄・大黄 など

五苓散(ごれいさん)

むくみ・二日酔い・水分調整

沢瀉・猪苓・桂皮 など

ポイントは、「どの漢方薬が効くか」ではなく、「今の自分に合っているかどうか」です。


漢方薬を選ぶときのポイント


漢方薬は、西洋薬のように“この症状にはこの薬”と一概に決められるものではありません。

自分の体質や状態(=証)に合ったものを選ぶことが大切です。

 

✔ 自分の「証(しょう)」を知る

冷えやすい・むくみやすい・疲れが取れにくい…など、自分の体質の傾向を知っておくと、合う漢方薬が見つけやすくなります。

 

✔ 専門家に相談する

自己判断ではなく、漢方に詳しい薬剤師や医師に相談するのが安心です。特に持病がある方や、他の薬を服用中の方は要注意です。

 

✔ 続けて使うことを前提に

漢方薬は“じわじわ効く”タイプの薬です。短期間での即効性を求めるより、長期的な体質改善を目指す意識が大切です。


自然由来でも、注意は必要


「自然のものだから安全」と思われがちですが、漢方薬もれっきとした医薬品です。以下の点に注意しましょう。


  • 過剰摂取はNG

    決められた用法・用量は必ず守りましょう


  • 薬の飲み合わせに注意

    他の薬との相互作用がある場合があります


  • アレルギーに注意

    特定の生薬にアレルギーがある方は使用前に確認しましょう


おわりに


漢方薬や生薬は、「治す」だけでなく、「整える」ことを大切にする、やさしく力強い“自然のサポーター”です。

現代では、漢方の知識と西洋医学が共存し、さまざまな場面で活用されています。

自分の体調や生活スタイルに合わせて、漢方の知恵を上手に取り入れていくことが、健やかな日々への一歩になるでしょう。

 

登録販売者試験でも、漢方薬や生薬の基礎知識はよく出題されるテーマのひとつです。

実生活にもつながる内容ですので、ぜひこの機会に学びを深めてみてください。









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