毎月のつらさにやさしく寄り添う――生理痛とPMSに効く“漢方”の力
- アプエンテ事務局
- 12 分前
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「おなかが重い…」「イライラが止まらない…」「毎月この時期が憂うつ」
そんな、生理前後に起こる心と体の不調。実は、月経に関わる不調の多くに漢方薬が活躍することをご存じですか?
市販の婦人薬のなかには、生薬を中心に配合されたものがあり、ホルモンバランスの乱れや冷えといった根本的な原因にアプローチしてくれます。
今回は、PMS(月経前症候群)と生理痛に関する基礎知識とともに、登録販売者試験でも頻出の婦人薬・漢方薬についてやさしく解説します。
生理痛とPMSってどう違うの?
症状 | 起こる時期 | 主な原因 |
生理痛(月経困難症) | 月経中 | 子宮の収縮を引き起こすプロスタグランジンの過剰分泌 |
PMS(月経前症候群) | 月経前3~10日程度 | ホルモン変動による自律神経や精神面の乱れ |
PMSでは、気分の落ち込みやイライラ、頭痛、眠気、むくみ、胸の張りなど、心身にわたる幅広い症状が見られます。
「いつものことだから…」とがまんせず、適切に対処することが大切です。
婦人薬・漢方薬の出番です
生理にまつわる不調には、体質の根本にアプローチする漢方薬が力を発揮します。
<漢方婦人薬の代表例>
製剤名 | 主な適応 | 構成生薬 | 特徴 |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) | 冷え性、貧血、生理不順 | 当帰、芍薬、川芎、茯苓、白朮、沢瀉 | 水分代謝と血の巡りを整える |
加味逍遙散(かみしょうようさん) | イライラ、情緒不安定、PMS | 逍遥散+柴胡、牡丹皮、山梔子など | 気分の波をなだめ、体を温める |
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) | 血行不良、下腹部痛 | 桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬 | 血(おけつ)の巡りを改善 |
鎮痛薬とのちがいと併用の考え方
即効性を求める場合には、解熱鎮痛薬(NSAIDs)が適しています。
一方で、体質改善や予防的なアプローチには、漢方薬や婦人薬の出番です。
<解熱鎮痛薬(西洋薬)>
成分 | 特徴 |
イブプロフェン、ロキソプロフェン | 炎症や痛みのもと「プロスタグランジン」の生成を抑える |
アセトアミノフェン | 胃への刺激が少なく、マイルドな効き目 |
🔎 補足:併用の注意点
・成分の重複に注意(例:イブプロフェン配合の婦人薬+鎮痛薬)
・長期間の服用や定期服用の場合は、医師や薬剤師に相談を
漢方薬の選び方と注意点
漢方薬は「症状」だけでなく、「体質=証(しょう)」に合わせて選ぶのが基本です。
<よくある証のタイプ>
証の種類 | 特徴 |
気虚(ききょ) | 疲れやすく、元気が出にくい |
血虚(けっきょ) | 貧血傾向があり、顔色が悪く冷えやすい |
気滞(きたい) | ストレスを感じやすく、イライラしやすい |
おけつ | 血流が悪く、頭痛・肩こり・慢性的な生理痛がある |
自分の体質を把握して、適切な処方を選ぶことが大切です。
生活改善もセットで考えよう
婦人薬や漢方薬の効果を高めるには、生活習慣の見直しも欠かせません。
✅ 体を冷やさないように意識する
✅ ストレスをためすぎない(セルフケアや相談も大切)
✅ 食事・睡眠・軽い運動を習慣にする
✅ 「がまんしすぎない」ことも、立派なケアです
🎓 登録販売者ミニクイズ!
Q1. 次のうち、婦人薬に使われる生薬はどれ?
A. 当帰 B. カンゾウ C. センナ D. ケイヒ
Q2. 次の漢方薬のうち、イライラやPMSに適しているのは?
A. 桂枝茯苓丸 B. 加味逍遙散 C. 防風通聖散 D. 五苓散
Q3. NSAIDsに分類される成分はどれ?
A. アセトアミノフェン B. カフェイン C. イブプロフェン D. ブロムワレリル尿素
おわりに
生理痛やPMSのつらさは、本人にしかわからないもの。でも、毎月の不調と向き合うヒントは、薬や漢方、セルフケアの中にたくさんあります。
登録販売者としては、「薬を選ぶ」だけでなく、「相手の体質やライフスタイルを考慮したアドバイス」が求められます。
試験対策としても、日常生活を支える知識としても、ぜひ理解を深めていきましょう。
登録販売者ミニクイズ 答え
Q1:A
当帰は、婦人薬に多く使われる代表的な生薬で、血行を促進し、冷えや生理不順に用いられます。
Q2:B
加味逍遙散は、情緒不安定や気分の波が気になるタイプのPMSに適しています。
Q3:C
イブプロフェンは、炎症や痛みの原因物質であるプロスタグランジンを抑えるNSAIDsの一種です。