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毎月のつらさにやさしく寄り添う――生理痛とPMSに効く“漢方”の力

  • 執筆者の写真: アプエンテ事務局
    アプエンテ事務局
  • 12 分前
  • 読了時間: 4分
処方箋

「おなかが重い…」「イライラが止まらない…」「毎月この時期が憂うつ」

そんな、生理前後に起こる心と体の不調。実は、月経に関わる不調の多くに漢方薬が活躍することをご存じですか?

市販の婦人薬のなかには、生薬を中心に配合されたものがあり、ホルモンバランスの乱れや冷えといった根本的な原因にアプローチしてくれます。

 

今回は、PMS(月経前症候群)と生理痛に関する基礎知識とともに、登録販売者試験でも頻出の婦人薬・漢方薬についてやさしく解説します。


生理痛とPMSってどう違うの?

症状

起こる時期

主な原因

生理痛(月経困難症)

月経中

子宮の収縮を引き起こすプロスタグランジンの過剰分泌

PMS(月経前症候群)

月経前3~10日程度

ホルモン変動による自律神経や精神面の乱れ

PMSでは、気分の落ち込みやイライラ、頭痛、眠気、むくみ、胸の張りなど、心身にわたる幅広い症状が見られます。

「いつものことだから…」とがまんせず、適切に対処することが大切です。

 

婦人薬・漢方薬の出番です


生理にまつわる不調には、体質の根本にアプローチする漢方薬が力を発揮します。


<漢方婦人薬の代表例>

製剤名

主な適応

構成生薬

特徴

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

冷え性、貧血、生理不順

当帰、芍薬、川芎、茯苓、白朮、沢瀉

水分代謝と血の巡りを整える

加味逍遙散(かみしょうようさん)

イライラ、情緒不安定、PMS

逍遥散+柴胡、牡丹皮、山梔子など

気分の波をなだめ、体を温める

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血行不良、下腹部痛

桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬

血(おけつ)の巡りを改善

 

鎮痛薬とのちがいと併用の考え方


即効性を求める場合には、解熱鎮痛薬(NSAIDs)が適しています。

一方で、体質改善や予防的なアプローチには、漢方薬や婦人薬の出番です。


<解熱鎮痛薬(西洋薬)>

成分

特徴

イブプロフェン、ロキソプロフェン

炎症や痛みのもと「プロスタグランジン」の生成を抑える

アセトアミノフェン

胃への刺激が少なく、マイルドな効き目


🔎 補足:併用の注意点

・成分の重複に注意(例:イブプロフェン配合の婦人薬+鎮痛薬)

・長期間の服用や定期服用の場合は、医師や薬剤師に相談を


漢方薬の選び方と注意点


漢方薬は「症状」だけでなく、「体質=証(しょう)」に合わせて選ぶのが基本です。


<よくある証のタイプ>

証の種類

特徴

気虚(ききょ)

疲れやすく、元気が出にくい

血虚(けっきょ)

貧血傾向があり、顔色が悪く冷えやすい

気滞(きたい)

ストレスを感じやすく、イライラしやすい

おけつ

血流が悪く、頭痛・肩こり・慢性的な生理痛がある

自分の体質を把握して、適切な処方を選ぶことが大切です。


生活改善もセットで考えよう


婦人薬や漢方薬の効果を高めるには、生活習慣の見直しも欠かせません。


✅ 体を冷やさないように意識する

✅ ストレスをためすぎない(セルフケアや相談も大切)

✅ 食事・睡眠・軽い運動を習慣にする

✅ 「がまんしすぎない」ことも、立派なケアです

 

🎓 登録販売者ミニクイズ!

Q1. 次のうち、婦人薬に使われる生薬はどれ?

A. 当帰 B. カンゾウ C. センナ D. ケイヒ

 

Q2. 次の漢方薬のうち、イライラやPMSに適しているのは?

A. 桂枝茯苓丸 B. 加味逍遙散 C. 防風通聖散 D. 五苓散

 

Q3. NSAIDsに分類される成分はどれ?

A. アセトアミノフェン B. カフェイン C. イブプロフェン D. ブロムワレリル尿


おわりに


生理痛やPMSのつらさは、本人にしかわからないもの。でも、毎月の不調と向き合うヒントは、薬や漢方、セルフケアの中にたくさんあります。

登録販売者としては、「薬を選ぶ」だけでなく、「相手の体質やライフスタイルを考慮したアドバイス」が求められます。


試験対策としても、日常生活を支える知識としても、ぜひ理解を深めていきましょう。





登録販売者ミニクイズ 答え

Q1:A

当帰は、婦人薬に多く使われる代表的な生薬で、血行を促進し、冷えや生理不順に用いられます。

Q2:B

加味逍遙散は、情緒不安定や気分の波が気になるタイプのPMSに適しています。

Q3:C

イブプロフェンは、炎症や痛みの原因物質であるプロスタグランジンを抑えるNSAIDsの一種です。



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